問06の正解:1
問06 Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aの債権者Cが、AのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、その差し押さえ前に取得していたAに対する債権と、差し押さえにかかる賃料債務とを、その弁済期の先後にかかわらず、相殺適状になった段階で相殺し、Cに対抗することができる。
解説:○・・・このような相殺は、差押え前から債権を取得していた場合、その弁済期の先後にかかわらず、相殺適状になった段階で、相殺することができる。
2 甲建物の抵当権者Dが、物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、Dの抵当権設定登記の後に取得したAに対する債権と、差し押さえにかかる賃料債務とを、相殺適状になった段階で相殺し、Dに対抗することができる。
解説:×・・・建物の抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえた場合、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と差し押さえにかかる賃料債務とを、相殺適状になった段階で相殺することはできない。
3 甲建物の抵当権者Eが、物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、その後に賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたとしても、Bは、差し押さえにかかる賃料債務につき、敷金の充当による当然消滅を、Eに対抗することはできない。
解説:×・・・・そもそも敷金は、賃料の不払等のためのものであり、建物の明け渡し後に、その不払い等を差し引き、残額を賃貸人から賃借人に返還されるものです。
抵当権者は、賃料を差し押さえた場合、賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡された場合、残存する賃料は敷金が存在する限度で敷金の充当により当然消滅します。よって、賃借人は敷金の充当による消滅を抵当権者に対抗することができます。
4 AがBに対する賃料債権をFに適法に譲渡し、その旨をBに通知したときは、通知時点以前にBがAに対する債権を有しており相殺適状になっていたとしても、Bは、通知後はその債権と譲渡にかかる賃料債務を相殺することはできない。
解説:×・・・譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。 (民法468条の2より)